ねらい
- このケーススタディでは、政府統計データを利用して、対象地域の幼少人口を色分けして表示することにより、地域内の幼少人口の分布を明らかにします。この分析を通じて、地域ごとの人口構造を視覚的に理解することが目的です。
- 学習者は、実際の人口データを活用して地図上に色分け表示を行う技術を習得し、データの収集から処理、視覚化までの一連のGIS操作を学び、地理情報システムを利用したデータ分析の基本スキルを身につけ、地域計画や社会政策の策定に活用する能力を養うことを目指します。
学習目標
- e-statから入手したデータを用いて、QGISで地図上に幼少人口の分布を色分け表示して視覚化し、地域ごとの人口密度の違いを直感的に理解する能力を身につける。
- ソースから必要なデータを効率的に収集し、QGISを用いてこれらのデータを結合する技術を習得し、データの調整と統合の基本的な方法を理解し、応用することができるようになる。
ケースの概要
対象地域の各町丁目における0-5歳の幼少人口の分布を地図上に色分けして表示し、地域ごとの幼少人口の多さを視覚化します。
使用ツール
- 政府統計(eStat)サイト
- QGIS
作業の手順
1. |
政府統計(eStat)サイトから、町丁目境界データを入手する。
- eStatサイトの「統計地理情報システム」の「境界データダウンロード」から、小地域 > 国勢調査 > 2020年 > 小地域(町丁・字等)> 世界測地系緯度経度・Shapefile を選択し、対象地域の町丁目境界データをダウンロードする。データはShapefile形式で提供されており、QGISで利用可能。ここでは例として、大阪府全域を取り上げている。
データのダウンロードはこちら。
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2. |
政府統計(eStat)サイトから、国勢調査の人口データを入手する。
- eStatサイトの「国勢調査」統計データ から> 2020年 > 4次メッシュ(500mメッシュ)> 人口及び世帯 から対象地域(例:大阪府)の人口及び世帯をダウンロードする。
データのダウンロードはこちら。
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3. |
QGISでデータを結合する。
- ダウンロードした町丁目境界データと人口データをQGISを使用して結合する。このプロセスにより、地理的境界に人口データが結びつけられ、さらなる分析が可能になる。
データの読み込み
- QGISの「レイヤ」メニューから「データソースマネージャ」を選択する。
- 「ベクターレイヤ」タブを選択し、「...」ボタンをクリックしてダウンロードした町丁目境界データ(Shapefile形式)を選択する。
- 同様に、人口データも追加する。人口データがCSV形式の場合は、左側のメニューの「CSVテキスト」から読み込む必要がある。
レイヤの属性結合
- レイヤパネルで町丁目境界レイヤを右クリックして「プロパティ」を選択する。
- 左側のメニューから「テーブル結合」を選択し、「+」アイコン(結合の追加)をクリックする。
- 結合するレイヤとして人口データのCSVファイルを選択する。
- 結合基準の属性(人口データのCSVで「総数0~4歳」のフィールド)とターゲット属性(町丁目境界レイヤで人口に対応するフィールド)を指定する。これは通常、地域コードや町丁目名など、両方のデータセットに共通の属性に基づいている。
- 必要に応じて追加の結合オプションを設定し、「OK」をクリックして結合を完了する。
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4. |
レイヤを色分けして表示する。
- 結合したデータを基に、0-5歳の幼少人口の実数を用いて色分けを行う。このステップでは、人口の多い地域が一目で識別できるように異なる色で地図上に表示する。
- レイヤパネルで町丁目境界レイヤを右クリックして「プロパティ」を選択する。
- 左側のメニューから「シンボロジ」を選択する。
- 「連続値による定義(graduated)」タイプを選択する(デフォルトでは「単一定義」になっている)。
- 「値(Value)」フィールドに0-5歳人口データの列名("JINKO"など)を選択する。
- 「モード」を選択する。多くの場合、「等量分類」や「自然分類」が適している。
- 「分類数」ボタンをクリックして、希望するカテゴリ数を設定する(例: 5クラス)。
- 必要に応じて追加の結合オプションを設定し、「OK」をクリックして結合を完了する。
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5. |
設定の適用と確認。
- すべての設定が完了したら、「OK」をクリックして変更を適用する。
- 地図を確認して、0-5歳人口の分布が適切に色分けされているか確認する。
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評価のポイント
- データの正確な読み込みと整合性の確認。
- 分析の過程でのデータの適切な処理と解釈の正確性。
- 地図上での情報の適切な表現と結果の報告の明確性。
リソースとサポート
事前準備
- QGISのインストールと基本的な操作の習得。
- 分析に使用するデータファイルの事前確認とダウンロード。
- 分析計画の明確化と必要なリソースの整理。
発展的な学習
- 国土数値情報から取得した児童福祉施設のデータを地図に重ね合わせることで、保育園などの施設が幼少人口の多い地域に適切に配置されているかを評価し、地方自治体や関連機関が地域の福祉施設計画や政策立案に役立つデータを得ることができます。