電子地図で考え分析しよう

用語解説

BODIK (ボディック)

BODIKは、ビッグデータやオープンデータを活用して社会課題の解決を目指すプラットフォームである。データの収集・分析・共有を通じて、地域の活性化や政策立案の支援を行う。また、データカタログサイトを提供し、多様なデータセットへのアクセスを可能にする。利用者は、データを活用した新たな価値創出や課題解決のための情報を得られる。

BOM (ボム)

BOM(Byte Order Mark)は、テキストファイルの先頭に存在する特殊な文字列で、テキストのエンコーディング形式を示すために使用される。特に、UTF-8, UTF-16, UTF-32などの異なるエンコーディング方式を識別する際に重要だが、GISのソフトウェアやシステムでは、BOMが含まれていると正しくファイルを読み込めない場合があるため、CSV形式のオープンデータを地図にインポートする際には、BOMがないか事前に確認し、必要に応じて削除することが推奨される。

CRS(座標参照系)

CRS(座標参照系)は、地球上の位置情報を表現するためのルールや基準を定めたシステムである。これにより、地理的なデータの正確な位置を緯度・経度や平面座標系を用いて一貫して表現することが可能となる。GIS(地理情報システム)などで用いられ、地図作成や位置情報の分析に欠かせない。

eSTAT

eSTAT(イースタット)は、日本の統計局が運営する統計データベースサービスである。このサービスは、国や地域、産業など多様なテーマに関する統計情報を一元的に提供している。インターネットを通じて誰でも無料でアクセスでき、多くの統計データを閲覧・ダウンロードすることが可能である。

eSTATは、政府が行う各種調査やセンサス(国勢調査)、経済統計など、幅広い情報を網羅している。これにより、社会科学や地理、経済学などの研究、ビジネスの市場分析、地域社会の計画策定など、多くの用途で活用されている。

特に高校生が社会科目でデータを扱う際や、地理情報システム(GIS)で日本の地域情報を分析するときにも、eSTATから得られるデータは非常に有用である。ただし、データの解釈や利用には注意が必要であり、正確な情報を得るためには、ソースや調査方法を確認することが重要。

GPS(Global Positioning System)

GPSは、地球上の任意の位置を高精度で測定するためのシステムである。このシステムは、地球を周回する複数の人工衛星と、地上の受信機で構成されている。受信機は、最低でも4つ以上の衛星からの信号を受け取ることで、自身の位置を三次元的に計算する。

GPSはもともとは軍事目的で開発されたが、現在では一般に広く利用されている。自動車のナビゲーションからスマートフォンの地図アプリ、航空機や船舶の位置測定まで、多様な用途で活用されている。また、地理情報システム(GIS)でのデータ収集にも重要な役割を果たしている。

高校生にとって、GPSは地理や科学、技術に関する理解を深める一例となる。特に、地理や環境学でのフィールド調査では、GPSを用いて正確なデータを収集するスキルが求められることもある。しかし、信号が届かない場所や精度に制限がある場合もあり、その限界を理解することも重要である。

GeoJSON

GeoJSONは、地理的なデータ構造をJSON形式で表現するためのフォーマットである。地点、線、多角形などの地理的オブジェクトを記述でき、Web上で地理情報を扱う際に広く利用される。簡潔で読みやすく、多くのGISソフトウェアやウェブアプリケーションでサポートされている。

なお、GeoJSONで提供されているデータは、ファイルの拡張子が「.geojson」と「.json」の両方の場合がある。

この教材では、「カキコまっぷ」の登録済み地点データをGeoJSON形式に変換し、またGeoJSON形式の地点データを「カキコまっぷ」に読み込んで表示することが可能である。
G空間情報(ジーくうかんじょうほう)

G空間情報は、地球上の位置(緯度・経度)に関連づけられた情報のことである。この情報は、地理情報システム(GIS)などでよく用いられ、地図上で可視化や分析が行われる。例えば、人口密度、気温、土地利用など、さまざまなデータがG空間情報として扱われる。

高校生にとって、G空間情報は地理や社会科学、環境学などの学習に役立つ。具体的な地域や社会の問題をデータに基づいて考える際、この情報が非常に有用である。また、災害時のリスク分析や、観光地のプランニング、ビジネスでの市場調査など、実生活にも直結する。

操作は専門的なソフトウェアが多いが、最近ではWebGISや無料のQGISなど、手軽に使えるツールも増えている。ただし、データの解釈には注意が必要。正確な分析や利用のためには、基本的な地理や統計の知識が求められる。

POI

POI(Point of Interest)は、電子地図上で特定の興味ある場所を指す。これには観光地、レストラン、銀行など、ユーザーが探索や訪問を考える可能性のある地点が含まれる。電子地図やナビゲーションシステムでは、POIを利用して目的地の検索や情報提供を行う。

QGIS(キュージーアイエス)

QGISは、オープンソースの地理情報システム(GIS)ソフトウェアである。無料で利用でき、Windows、Mac、Linuxなど多くのオペレーティングシステムで動作する。商用のGISソフトウェアと同様に、地図の作成、空間データの管理、空間分析などの高度な機能を提供している。

QGISはプラグインアーキテクチャを採用しており、ユーザーが独自の機能を追加することも可能。これにより、特定の分析や作業に特化したツールを簡単に組み込むことができる。また、多くの地図データ形式と互換性があり、オープンストリートマップなどのオープンデータも容易に取り込める。

高校生から専門研究者まで幅広いユーザーに対応しており、教育や研究、ビジネスで多く用いられている。ただし、多機能であるがゆえに操作が複雑であり、基本的なGISの知識が必要とされる場合もある。それでも、無料で高度なGIS機能を手に入れられる点は、多くの人々にとって大きな魅力である。

RESAS(リーサス)

RESASは地域経済分析システムの略で、日本政府が提供するオンラインのデータプラットフォームである。このサービスは、日本全国の地域に関するさまざまな統計データを一元的に集め、視覚的にわかりやすく表示している。例えば、人口動態、産業構造、観光情報などが網羅されている。

RESASは、地域の特性や課題を理解するための重要なツールとされている。高校生が地理や社会科で学ぶ内容にも関連があり、具体的なデータを使って地域社会を分析する際に非常に役立つ。また、進学や就職、地域づくりの参考にすることも可能である。

操作は直感的で、特別な技術知識は不要。しかし、データの解釈や利用には注意が必要で、正確な情報を得るためには、その背景や集計方法を理解することが重要である。このようにして、RESASは学びからビジネスまで、多くの場面で活用されている。

WebGIS(ウェブジーアイエス)

WebGISは、インターネットを通じて地理情報システム(GIS)の機能を提供するプラットフォームである。従来のGISソフトウェアが必要だった地図作成や空間分析を、ウェブブラウザ上で手軽に行えるのが特徴。これにより、特別な技術やソフトウェアがなくても、地図情報を視覚的に探索したり、独自の地図を作成したりすることが可能になる。

WebGISは、公共機関や企業、一般ユーザーによって多様な用途で利用されている。例えば、災害時のリアルタイムな情報共有、不動産の価格分析、観光地のプロモーションなどがある。データはオープンデータを活用することも多く、手軽に多様な情報を組み合わせることができる。ただし、WebGISを使う際には、データの正確性やプライバシー問題に注意が必要である。特に、個人情報を含む地図を公開する場合は、その取り扱いに十分な配慮が求められる。

オープンストリートマップ

オープンストリートマップ(OpenStreetMap, OSM)は、誰でも自由に地図情報を閲覧、編集、利用できるオンラインの地図サービスである。一般的な地図サービスと違い、OSMはオープンデータとして提供されている。これにより、商用・非商用問わず多くの用途で利用が可能である。

地図データは世界中のボランティアによって集められ、更新される。GPSデバイスや航空写真、既存のフリーな地図データを基に、道路から建物、自然環境まで多様な情報が記録される。このようなコミュニティ主導のアプローチにより、地元の詳細な情報も反映されやすい。

GIS(地理情報システム)でよく用いられ、特に地域社会や研究、ビジネスでの利用が拡がっている。ただし、誰でも編集できるため、情報の正確性には注意が必要である。

オープンデータ

オープンデータは、誰でも自由にアクセス、利用、再配布できる形で公開されたデータのことである。このデータは多くの場合、政府や公共機関、研究機関などによって提供される。オープンデータの目的は、透明性の向上、イノベーションの促進、そして公共サービスの改善など多岐にわたる。

オープンデータは、地理情報システム(GIS)でよく用いられるほか、アプリ開発、市場調査、学術研究など、多様な分野で活用されている。例えば、交通状況や気象情報、公共施設の場所といったデータがオープンデータとして公開されている場合が多い。

高校生にとって、オープンデータは社会課題をデータに基づいて考える良い機会となる。地理や社会科学、経済学などの授業や研究で、実際のデータを用いて分析を行うことができる。ただし、データの品質や信頼性、利用条件を確認する必要がある。これにより、より正確で信頼性の高い分析が可能となる。

カーネル

カーネル密度分析で使用される異なる数学的関数のことである。これらの関数は、データポイント周辺の重み付けの方法を定義し、どのようにして周辺データが全体の密度推定に影響を与えるかを決定する。一般的なカーネルの種類には、ガウスカーネル(ベル形の滑らかな曲線)、エパネチニコフカーネル(半円形)、四角カーネル(一定の範囲内で均等な重み付け)、三角カーネル(中心から線形に減少する重み)などがあり、それぞれ異なる特性と用途がある。選択するカーネルの形状やタイプによって、分析結果の滑らかさや詳細度が変わるため、対象とするデータの性質や解析の目的に応じて適切なカーネルを選ぶことが重要である。

カーネル密度推定

カーネル密度推定は、ある特定の地点におけるデータポイントの密度、つまり集まりやすさを推定する方法である。この分析を用いることで、例えば人口の密集度や店舗の集中度など、空間上の分布を平滑な密度マップとして表現することが可能となる。カーネル密度推定では、「カーネル」と呼ばれる関数を使ってデータポイント周辺の密度を計算し、それをすべて足し合わせることによって全体の密度分布を作り出す。GIS(地理情報システム)を活用して、地域ごとの特性を理解する際に役立つ技術であり、都市計画、環境管理、マーケティングなど幅広い分野で利用される。

ジオコーディング

ジオコーディングは、住所や地名などの地理情報を緯度と経度の座標に変換する技術である。このプロセスにより、地図上での正確な位置特定が可能となり、運送業や宅配業者など地図情報を頻繁に利用する業界で広く活用される。ジオコーディングによって得られた座標はジオコードと呼ばれる。

基盤図・主題図

基盤図は、地理的な位置や地形などの基本情報を示す、背景として機能する地図である。主題図は基盤図上に特定のテーマや情報を追加して作成される地図である。例えば「カキコまっぷ」では、国土地理院地図やOpenStreetMapを基盤図として使用し、ユーザーが興味のある地点情報を登録することで主題図が形成される。この主題図は、ユーザーが選んだ情報に特化しており、特定の目的に合わせた地図情報を提供している。

空間結合

空間結合は、地理情報システム(GIS)において、一方の地理的フィーチャー(例えばポリゴンやポイント)の属性を、他のフィーチャーとの空間的な関係に基づいて結合する手法である。この操作により、例えばある地域(ポリゴン)の属性データと、その地域内に位置する店舗(ポイント)のデータを結合することができる。結合の基準となる空間的関係には、「重なる」、「接触する」、「含まれる」などがある。 空間結合を行うことで、地図上の異なるフィーチャー間で情報を共有し、より複雑な空間分析を実行することが可能になり、地理的な要素間の関係を明確にし、都市計画、環境管理、公共サービスの最適化など、さまざまな分野での意思決定をサポートする。

地理座標系

地理座標系は、地球上の任意の位置を緯度と経度で表すシステムである。緯度は赤道からの角度、経度は本初子午線(グリニッジ天文台を通る子午線)からの角度で位置を特定する。この座標系により、世界中のどの場所も正確に表現できる。GPS技術などで広く利用されている。

地理情報システム(GIS:Geographic Information System)

地理情報システムは、地理的なデータを収集、管理、解析、表示するためのテクノロジーである。GISは地図作成だけでなく、空間に関する複雑な分析も可能で、多様な分野で利用されている。例えば、都市計画、環境保護、災害対策、ビジネス戦略など、地理的な要素が関わるほぼ全ての活動に応用される。

GISの主な機能は、地理的なデータの可視化と空間分析である。地図上にデータをプロットすることで、視覚的に情報を理解しやすくする。さらに、地域の特性や問題点を明らかにするための高度な分析が行える。

高校生にとって、GISは地理や社会科学、環境学などの学習に非常に役立つ。また、現実世界の問題解決に直接関わるツールであり、将来的に多くの職業で求められるスキルでもある。ただし、操作や分析には専門的な知識が必要な場合もある。

ボロノイ分割(Voronoi tessellation)

ボロノイ分割は、平面または空間を特定の点に基づいて区分けする数学的な手法である。各点に最も近い領域を形成することで、平面や空間全体を複数の領域に分割する。具体的には、ある点から他の全ての点への距離を計算し、その点に最も近い場所を同じ領域としてグループ化する。

この手法は、地理情報システム(GIS)や計算機科学、生物学、航空工学など多くの分野で応用されている。例えば、最寄りの病院や公共施設を探す際に、ボロノイ分割が用いられることがある。また、自然界のパターン(例:動物の領域)を理解するためにも使われる。

高校生にとっては、数学や地理、科学研究でのデータ分析において、この概念は有用である。ただし、計算は複雑な場合もあり、専門的なソフトウェアが用いられることが多い。理解と応用には、基本的な数学的概念が必要である。

この教材では、「カキコまっぷ」で作成した登録済み地点データをQGISに読み込み、それを基にボロノイ図を作成できる。これにより、収集した地点データの分布や密度を視覚的に分析できる。